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小売・消費財業界、広告・マーケティング業界からみたAWS活用事例 | AWS Summit Japan 2026レポート

2026年6月25日と26日に幕張メッセで開催されたAWS Summit Japan 2026に参加しました。私は今回が初めてのAWS Summit参加でしたが、会場ではAIを軸に、各業界の課題をどのように解決していくのかが具体的な展示として紹介されており、非常に学びの多い1日間となりました。

本記事では、Industries ZoneにあるAdvertising and MarketingとRetail and Consumer Goodsのブースを紹介します。これらのブースでは、単に技術を見せるだけでなく、現場で起きている課題に対してAWSのサービスをどう組み合わせ、どのように業務改善や顧客体験の向上につなげるのかが分かりやすく示されていました。

 

 

家具を試し置きできる!?AmazonBedrockを活用したAI画像生成

消費者は商品を買う前に、体験や納得感を求める傾向が強まっています。そのため、店舗は単なる販売場所ではなく、商品を試し、比較し、購入を後押しする場としての役割が大きくなっているというのが、小売や消費財業界の現状です。

また、技術的な課題として、店舗での体験をデジタル技術で強化し、購買につなげることや、消費者ごとのニーズや利用シーンに合わせて体験を個別化することが挙げられます。

今回カインズの事例として展示されていた「CAINZ Fitting Room」では、こうした現状と課題に対して、店舗での体験価値を高めながら、購買につながる意思決定を支援する仕組みを提供します。具体的には、部屋と商品の組み合わせを選択することで画像が出力され、その画像をタブレットで確認できるサービスです。

AWSの構成は、Amazon Bedrockを使ってAI画像を生成し、AWS Lambda経由でデータベースやストレージに画像を保存します。そして、その画像をAWS Lambda経由でタブレットに公開する仕組みになっていました。

このサービスは、店舗で部屋と家具の組み合わせを確認できるため、購入する際の判断材料として有効だと感じました。家具やインテリアは、実際に設置したときのイメージが分かりにくいことがありますが、このように視覚的に確認できることで、消費者の不安を軽減し、購入の後押しにつながると考えられます。

また、この「CAINZ Fitting Room」は実際に店舗へ導入されており、カインズの吉川美南店、浦和美園店、朝霞店に設置されています。展示会場だけの参考出展ではなく、すでに実店舗で活用されている点も印象的でした。

さらに、対話型AIを活用した「となりのAIンズさん」も紹介されていました。これは、日常の困りごとについて、Web記事である「となりのカインズさん」を参照しながらAIが解決策を提示する仕組みです。現在は検証環境の構築段階とのことでしたが、利用者の悩みに対して具体的な解決策を示し、そのまま商品購入につなげられる可能性があるため、効果的な取り組みだと感じました。

AWSで実現! 現場の声を具体化する対話型日報AI

小売業界や消費財業界では、現場の情報が本部に十分伝わらず、意思決定に活かしきれていないことも現状として挙げられます。

日報は現場の声を知る重要な手段ですが、現場では曖昧な表現が多くなりやすく、本部は具体的な内容を把握しきれないことがあります。そのため、現場の声を曖昧なままではなく、具体的なデータとして収集し、分析できるようにすることが技術的な課題となっています。

日報AIはこの課題に対して、対話型で定型質問に回答すると、AIがその内容を「なぜ」と深掘りすることで、曖昧な表現で伝えられていた現場の声をより具体的に引き出します。これにより、現場で起きていることを本部が把握しやすくなり、結果として本部への反映や現場へのフィードバックに役立つ仕組みとなっていました。

私はこの展示を見て、本部がそれぞれの店舗で売れた商品の種類や売れた理由、さらに他店舗で活かせるポイントを把握するうえで、とても効果的だと感じました。日報という日常業務の中に対話型AIを組み込むことで、現場の知見をより価値ある情報へ変換できる事例だと感じました。

自然言語でデータ分析を可能にするTobiras Agentの活用

消費者の行動や嗜好を把握するためには、データ分析が欠かせません。広告およびマーケティング業界では、消費者の興味や関心を惹くために、データ分析は必要不可欠なものとなっています。

その中で活用されているのが電通と電通デジタルによる「データクリーンルーム分析」です。「データクリーンルーム分析」とは、個人情報を保護しながら、複数のデータを安全に分析するための仕組み であるデータクリーンルームを利用した分析です。データクリーンルームは複数の企業が持つデータを統合し、お互いの元データを直接見ることなく、特定の分析結果だけを得られるように設計されています。 しかし、この分析には高度な知識が必要であり、対応できる人材が限られているため、属人化や意思決定のスピード低下といった課題が生じています。

こうした課題に対して、AIエージェントであるTobiras Agentは、自然言語による対話を通じてデータ分析を行えるようにします。そのため、アナリストを待たずに営業担当者が必要な分析を進めることができます。

この展示から、分析業務がアナリスト以外にも広がれば、業務の効率化だけでなく、現場の意思決定の速さも向上すると感じました。これまで専門知識が必要だった分析を、より多くの人が扱えるようにする点に大きな可能性があると感じました。

行動ログを活用した顧客理解の最適化とフロントログ収集の仕組み

広告およびマーケティング業界では、データ分析を行っている企業は多くありますが、そのデータを十分に活用できていないことも課題として挙げられます。

データ分析の一つとして、行動ログを活用した顧客理解の最適化があります。行動ログにはサーバーログとフロントログがあり、サーバーログはサーバーが受け取ったリクエストや処理結果を記録したものです。フロントログはユーザーのブラウザ側で発生した行動や状態を記録したもの です。この二つのうち特に重要なのがフロントログです。

たとえば、Eコマースの商品ページに滞在している場合でも、その行動の背景には離脱、熟読、比較といった異なる理由があります。フロントログがあれば、この違いを区別することができます。そのため、フロントログを利用することで、パーソナライズの最適化やマーケティングの効率化、リアルタイムAI支援などにつなげることが可能になります。

また、フロント行動ログの収集では、SDKによる自動収集に加えて、カスタムイベントの追加や分析しやすいデータ設計が重要であることが紹介されていました。特に、動的なJSONデータをそのまま保存するのではなく、固定項目と動的項目を分けて整理することで、検索やAI分析に使いやすいログ基盤になるという説明が印象に残りました。

私はデータ分析について詳しいわけではありませんが、この展示を通してデータを集めるだけでなく、分析しやすい形で設計することの重要性を学びました。顧客理解を深めるためにはどのようなデータを集めるかだけでなく、どのように整理して活用するかも重要であると実感しました。

参考:ブース資料「行動ログとAIによる次世代パーソナライズ」

 

まとめ

今回初めてAWS Summitに参加し、AWSのサービスそのものだけでなく、各業界の課題に対してどのように技術が活用されているのかを具体的に知ることができました。

特にIndustries Zoneでは、生成AI、対話型AI、データ分析基盤、行動ログ活用といった技術が、単なる技術として紹介されるのではなく、現場の課題解決に直結する形で展示されていたことが印象的でした。

今回紹介した展示を通して感じたのは、顧客体験を高めること、現場の情報を可視化して意思決定につなげること、そしてデータ活用を一部の専門家だけでなく多くの人に広げることの重要性です。

小売や消費財業界では店舗体験の高度化や現場情報の活用が進み、広告およびマーケティング業界では分析の民主化や顧客理解の高度化が進んでいました。技術が現場の課題解決にどのようにつながるのかを具体的にイメージできたことが、今回の大きな収穫でした。

初参加のAWS Summitでしたが、技術の進化だけでなく、その技術が実際の現場でどう役立つのかを学べる非常に有意義なイベントでした。今後もこのような業界特化型の展示に注目していきたいと思います。

 

本記事の内容は、公開時点での内容のものです。
実際に導入を検討する際は、各製品・サービスの情報は、公式サイトのドキュメント等をご参照ください。

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